-F’s Companyは三重には4度目1)F’s Companyは三重県にはこれまで3回登場。
2014年8月「マチクイの諷」(三重県文化会館)
2015年11月「太郎坊」(M-PAD2015)
2016年11月「第三の材料」(M-PAD2016)、本公演としては2度目の登場となります。三重の印象はいかがですか?
福田:う~ん……優しい人が多い印象です。演劇人も劇場の人もお客さんも温かかったし、プラッと入ったお店の店員さんも、柔らかい印象の人が多い気がします。食べ物なのか、気候なのか、土地の歴史性みたいなものなのか、理由はよく分かりませんが、流れている時間がゆっくりに感じられたりしますね。良い街です。
-F’s Companyは長崎ではどんな公演活動をされているんでしょうか?
福田:本公演が年に大体1作品と、オムニバス公演を2回くらい。それから、長崎・出島で「江戸時代に上演された近代演劇作品をやる」っていう企画があるので、それが夏と冬に何日間か。なので、年間通したら、2ヶ月に一度くらい公演してる感じになります。
-F’s Companyは今年結成20周年2)F’s Companyは今年で結成20周年。20周年を記念した2018年1月三重公演も既に決定している。を迎えるとお伺いしています。20年を振り返っていかがでしょうか?
福田:そうですね~、最初はガムシャラに、本当によく分からず全力で走ってて、「止まったら死ぬ」みたいに思っていた気がします。10周年を越えたあたりから、周りから「若手」と言われなくなったんで、それからは自覚を持って走った感じがしますね。旗揚げから残ってるメンバーが、僕を入れて3人ですけど、よくまあ続いていると感心……いやいや、感謝してます(笑)
-地域=長崎で活動を続けていての20年というのはいろんな苦労があったと思うんですが、どうでしょうか?
福田:物理的な距離感はどうしようもないってのは、東京公演の時に痛感したんで……、まあ「東京、東京」って言ってても仕方ないなってのは、随分前に思いました。それでもなんとかなってるのは、たぶん時代が良かったんだと思います。それこそ劇団を旗揚げした当時はまだ、「芝居やるなら東京か大阪」というのが常識だったんで、僕らみたいな地域の劇団が三重に来て公演するとか考えられなかったと思うんです。この20年の間に、都市圏一極集中の形から、だんだん分散型に変わってきたっていう流れに、上手く乗れたと思ってますから、苦労したっていう気持ちは、実はあまりないんですよ。運が良かったと思ってます。
-F’s Companyの作品の特徴を教えてください。
福田:特徴……う~ん、「価値観をひっくり返す」のが僕は好きなので、同じ物を色んな角度から観てもらって、持っている価値観をひっくり返されたときの感覚みたいなものを面白がる作品が多いと思います。人の心理とか人間関係とか状況とか、そういう目に見えない物を演劇にして観ることで、観終わった後にお酒のつまみになる作品でありたいなというのは、旗揚げの時から変わらず持っていて、それは昔も今も変わらないところですね。オムニバス作品とかの場合では、ただ笑って終わりとか、ただ悲しいとか、コンセプトがハッキリしてるんですけどね。
-今回の「いきばなし」はどんなお話しなんでしょうか?
福田:「いきばなし」は、僕が書く作品の中では異色というか、毛色がちょっと違っていて、A面というよりかはB面の作品で、凄く重い物を持って帰ってもらう作品だと思います。人間の嫌なとこがいっぱい見える作品になっているので、爽快感とか昇華とか、そういうのとは無縁の『大人な』テイストというか、ビターな作品です。だからって、暗くはないんですけどね。
-なぜこの作品を書こうと思われたんですか?
福田:何でだろう……「自分を良く見せたい」っていう気持ちは、全然悪いことじゃないけど、そのために「変わる」んじゃなくて「偽る」のだとしたら、それは違うんじゃないの?って思ったんです。この「変わる」と「偽る」の違いを書いてみよう、みたいな。そんな感じですかね。
-「いきばなし」は再演です。初演と異なる点は、逆に変わらない点は?
福田:そんなに変わってないんですよ。多少台詞の変更はしましたが、大まかな流れは変わってません。初演の時と同じような「重さ」は残しつつ、3年分歳をとった作家と役者の「重み」が加わってます。
-「いきばなし」の見所教えてください。
福田:すごく簡単に言うと、「生々しいところ」じゃないかなと僕は思ってます。登場人物の感情が剥かれていくので、剥き終わった後の後味を楽しんでもらえたら、と。
-最後に三重の皆様へ一言どうぞ!
福田:三重県文化会館での「マチクイの諷」、それからM-PAD2015・2016の2作品に続いての三重。初の『津あけぼの座』さんでの公演ということで、メンバー一同凄く楽しみにしています。きっと、ほどよい空気感で皆さまにお届けできると思いますので、是非会場に「人間が発する生々しい姿」を感じに来て下さい。